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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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舞台設定、人物設定、その他もろもろ完全創作です。






もう一度、見えることができたなら、どうしたいって思ってた?
謝って、許してもらって、そして「好きなんだ」って軽く一言。
「好き」って言うのは簡単なことだと思ってた。それこそ簡単に思ってた





銀と黒の詩。
そのご、雪狼。





「おじゃましまーす」
「どうぞ、上がってください」



ナルミはマサルとリーゼの後ろにくっついて、清潔だけれど女のにしてはいささか殺風景な部屋に上がりこんだ。けれど、今のナルミは部屋の中がどうだ、とかそんな自分をマサルやリーゼがどんな風に見てる、だとか、更にどうしてマサルが彼女と友達なのかなんてことですらちっともお構いなしで、ただただ銀色のオオカミ・しろがねの姿を目で追っかけていた。
「テーブルについて待っていてください。支度はすぐに済みますから」
しろがねの言葉に従い、3匹は大人しくテーブルにつく。



動転しているのか、とんでもなく舞い上がっているのか、ナルミは堂々としろがねをじっと見る。
胸がドキドキする、それもとんでもなく。
マサルが満足そうな顔でほっぺたを真っ赤にさせてゴキゲンになるくらい、ナルミの瞳の中には星が瞬いてしまって尻尾なんかはそわそわぱたぱたが止まらない。
らしくなく、お行儀よくきちんと正座している姿にマサルとリーゼはプッと吹き出した。
でも、ナルミはそんなことにも気がつかない。
もう、しろがねに見とれている、その一言に尽きる。



しろがねは用意した料理をまめまめしく小さなテーブルの上に所狭しと並べるために、キッチンとの間を行ったり来たりしている。しろがねが皿を置くため屈むたびにフワッと何とも言えない甘い香りがして、ナルミはどうにもこうにもムズムズしてくる。
あの晩、温泉でキスしたときに嗅いだのと同じ甘い匂い。
その落ち着かなさを解消したかったのか何なのか、ナルミはしろがねに
「なっ、何か手伝おうか?」
と申し出た。
しろがねは少し驚いたように一瞬真顔になったけれど、すぐに和らいで
「大丈夫です。お気遣いなく。もう終わりですから」
と微笑んだ。しろがねが自分に微笑んでくれたのでナルミは更に瞳の中がキラキラになった。





怒ってないのかも。
オレの仕出かしたことを水に流してくれているのかも。
ナルミはテーブルの下で拳をぐっと握った。
これなら大丈夫かもしれない。
きっと、オレたちは上手く行くかも……!





「お待たせしました」
最後の皿を持ってしろがねがテーブルにつこうとする。
「マサルさん、少し場所をずれていただけますか?」
マサルはナルミのために彼の隣の席をしろがね用に空けていたのだけれど、しろがねが自分はキッチンに近い席がいいのです、と主張したために、それもそうなのかな、と言われるがまま席を移動した。
マサルはリーゼの正面に座り、しろがねはナルミの正面に座る。
テーブルの上には山盛りてんこ盛りの零れ落ちそうなくらいの料理。
マサルとリーゼが食べきれるのかな?と心配になるくらいの量。



「さあ、どうぞ召し上がってください」
「いただきマス!」
「美味そうだなぁ」
「しろがね、いっぱい作ったんだねぇ」
「マサルさんとお友達に喜んで頂きたかったですから。昨日はマサルさんに何にもお出しできなかったですし」
「でも、昨日のスコーンも美味しかったよ?」
マサルとしろがねはにっこりと笑い合った。
「マサルは彼女…しろがね…といつから知り合いなんだ?」
ナルミはマサルとしろがねの親密そうな様子がちょっと気になって訊ねてみた。
「昨日だよ。僕もびっくりしたんだ、女のオオカミさんは初めて見たから。と言ってもオオカミは兄ちゃんしか知らないけど」
この界隈でたった一匹の男のオオカミと女のオオカミは視線を交わした。
しろがねはほんの少し、ナルミに硬い表情を見せたが、またすぐに頬を緩めた。
「私も自分以外のオオカミに会うのはこの森では今日が初めてです。初めまして、ナルミさん」
「は?初めまして?いや、ほら、一度…」
「は じ め ま し て、です」
しろがねはにこやかに、幾分語気を強めてナルミに答える。
そんなしろがねにマサルは首を傾げた。



「どうしたの?しろがね?兄ちゃんを知ってるの?」
「あのな、こないだ…」
「ナルミさんとは今日、初めて会いましたよ?」
マサルが心配そうな顔をしたので、しろがねは努めてにっこりとした。
「何でもありませんよ。マサルさん、サンドウィッチはいかがです?お取りしましょうか?リーゼさんも届きますか?」
「うん、一つ取ってもらえる?」
「はい、どうぞ」
と、きれいな笑顔をマサルに向ける。
ああ、良かった。変わらないしろがねだ。何だか今ちょっとだけ怒っているような気がしてびっくりした。
マサルは胸を撫で下ろす。
「私にもお願いしマス」
「はい、どうぞ」
しろがねはにこやかにリーゼにもサンドウィッチを取り分けた。





あれあれあれ?
ナルミは少し拍子抜け。キツネにつままれた心地になる。
「あなたもどうですか、ナルミさん」
「ああ、もらう…」
何だかサンドウィッチの自分の皿の上にへの置かれ方がマサルやリーゼの時に比べてちょびっと乱暴のような気がしたけれど      気のせいか?
だって、しろがねは微笑んでいるもの。
それにしてもどうして、「初めまして」?
一度、会っているのに。衝撃的に温泉で……。初めましてじゃないのにな。
もしかして、夜だったから暗くてあの時会ったのがオレだって分からないとか?
いやいや、あの晩は月が昼間みたいに明るかった。
オオカミの目があの至近距離であの明るさで分からないワケがない。
匂いだって忘れるワケがない。
なのに何で、初対面のフリをする?
ナルミは釈然としなくて首を捻る捻る。
だけれど4匹でたらふく食べて飲んで、おしゃべりして、がすごくすごく楽しかったから単純なナルミはすぐに考えるのを止めてしまった。





食事中、しろがねは空いた皿を下げるために席を立った。幾重にも重ねた重たい皿を両手に抱え、キッチンのシンクへと運ぶ。もう一往復が必要ね、としろがねが振り返るとそこには真っ黒い大きなオオカミが立っていた。たくさんの空き皿を軽々と片手に持って。
「なっ、何?!」
「何って…ほれ、皿。手伝うぜ?」
しろがねは、さささっと後ずさる。
後ずさって、手近にあったスツールをナルミとの間に挟むような位置関係にさりげなく距離を取った。
何なんだ、その反応は?
ナルミに嫌な予感が訪れる。



「おい…」
「皿はシンクに置いてくれれば後で洗う」
「おい、何だって…」
「それ以上は傍に寄るな!」
しろがねはマサルたちに聞こえないくらいの小さな声で、それでも鋭く牽制する。
ナルミは皿をシンクに置きながら、しろがねの態度の理由が分からず、
「どうして?」
と訊ねるのが精一杯。


「どうして?とは何だ。当たり前だろう?わ、私に…あんなことをしておいて」
「何だ、やっぱ覚えてるんじゃねぇか。何で『初めまして』なんて…」
「あなたの頭は帽子を載せる台か?子ども達の前でどこでどんな風に会ったのか説明する気なのか?」
「まあ確かに」
咄嗟にいい嘘で口裏合わせができるとも思えない。
それにナルミにも徐々にマサルのとびきり嬉しそうな笑顔がどうしてなのかが分かり始めていた。
ナルミにしろがねを紹介できた、間を取り持つことができたことを喜んでいるのだ。ナルミとしろがねを引き合わせたのが自分だと信じているのだ。そのピカピカの手柄を取り上げる気にはなれない。
実際に、マサルがいなければナルミはしろがねと再会できなかったのだから。



「それにしても帽子の台って」
「はっきり言っておくが、私はあなたを信用してはいないからな」
「おい」
「いつ何時、またあなたがああいう邪まなことをしないとも限らない
「おい、ちょい待て、オレの話を聞け」
ナルミはしろがねに一歩歩み寄る。すかさず、しろがねが一歩離れる。
「寄るな、と言っている」
「おまえなぁ」
「私があなたと打ち解けたフリをするのは偏にマサルさんのためだ。私は彼の悲しい顔や困った顔は見たくないからな」
しろがねはバシッとそう言い切ると、ナルミをその場に残し、テーブルへとスタスタ戻って行った。



「しろがね、兄ちゃんと何を話していたの?」
何も知らないマサルが無邪気に話しかける。
「ええ、ちょっと。せっかくのオオカミ同士ですからね。会えたことを喜んでいたんですよ」
「そうなんだ」
マサルがにぱっと笑う。
嘘つき。
ナルミはしろがねにそんな感想を持ちながらしおしおと席に着いた。
「ナルミさん、フライドチキン、お変わり如何ですか?」
シンク前の態度とは180度違うしろがねがナルミに声をかける。マサル向けの演技で。
「もらう…」
これまで通りの楽しそうな態度を取りなさい、としろがねの瞳が訴えている。笑い顔なのに瞳だけが笑っていない。
ナルミは皿を差し出して、悪気は全く無かったとはいえ、自分のやってしまったことの信頼回復がイバラの道であることをヒシヒシと感じずにはいられなかった。





しろがねの用意した料理はとても美味しくて、夢中になって食べたけれど子ども達のお腹には多過ぎて結局3ホールもあるケーキにはほとんど手をつけることができなかった。
本当に本当に美味しかったんだけれども。
「もっと召し上がりませんか?」
しろがねに薦められても胃袋にはもう隙間はなくって、マサルやリーゼが「もう結構」とジェスチャーをしてみせると
「そうですか?」
としろがねは淋しそうに笑った。
やはり昨日、マサルに友達と何人で来るのか訊ねればよかったと、しろがねは後悔した。
4人で食べるのにはあまりにも量が多過ぎた。自分が多く作ってしまったばかりにマサルさんたちに、いっぱい残して申し訳ない、という顔をさせてしまったのだ。頑張って作ったケーキはどれも2/3以上残ってしまった。



食べ残された料理やケーキを眺めながら、皆お土産として包まなければ、としろがねが考えていると
「おまえたちは少食だなぁ」
とナルミが笑った。
「兄ちゃんと同じようには無理だよ」
「そりゃそうだ」
未だデザートではなく料理をやっつけていたナルミは次々に皿の上の料理に手を伸ばし、それらを空にしていく。大食漢、健啖家、そんな単語がしろがねの脳裏を過る。残飯がきれいさっぱりなくなっていく様は非常に鮮やかで、美味しそうに食べ物を放り込み、飲み込んでいく様は見ていてとても気持ちがいい。



「兄ちゃんはホント美味しそうに食べるよね」
「すごいデス」
「そおかあ、冗談抜きで美味いしよ」
ナルミはしろがねにニヤリと笑ってみせたが、しろがねは無反応だった。
「マサルも喰わねぇとデカくなれねぇぞ?」
そう言いながらナルミはケーキにも手を伸ばす。
「兄ちゃん、大丈夫?まだ食べるの?」
「オレ甘党だから」
普段から、食事の後にも食べようと思えば2ホールはいけるナルミだった。ひょいぱくひょいぱく、とクリームもスポンジも、あっという間に3つのケーキはナルミの腹に収められてしまった。



「ごっそうさまでした」
ナルミはピタッと手の平を合わせた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうサマでシタ」
子ども達もそれに倣う。
「お粗末様でした」
しろがねは微笑んで、テーブルの上を改めて眺めた。こんなに残ってどうしよう、としろがねが心配したテーブルの上の皿はすべて空になった。しろがねの心尽くしは何一つ無駄にならなかった。
そして、「喰った喰った」と床に大の字になって寝転ぶ男を、しろがねは不思議な生き物を見るような瞳で見つめた。





「それじゃまたね、しろがね」
「お気をつけて」
さようならの挨拶をして子ども達は先に玄関を出た。
ナルミを最後にして、とっとと家から離れたのはマサルたちが気を遣ってくれているから。
しろがねは相変わらずナルミと一定の間合いをとる。そんなしろがねにナルミは溜め息が出てしまう。
ま、仕方ない。時間をかけて誤解を解いていこう。今日は再会できただけでも御の字なのだから。



「そんじゃあ、また、な」
「お節介」
不機嫌そうなしろがねの声。
「あ?」
「何も無理して食べることなんてなかっただろう?」
「べっつに。無理なんかしてねぇよ」
ナルミはへへん、と笑ってみせる。
「おまえはマサルの悲しいのや困ったのの顔が見たくねぇっつったろ?オレはおまえのそういう顔も見たくねぇって思っただけだ。それに無理なんかホントにしてねぇよ。そりゃあ普段はこんなに山ほど喰ったりはしねぇがよ、美味い喰いモンはいくらでも入るもんだ」
「……」
しろがねはふいっとそっぽを向いた。



白い横顔。
ナルミはそれがまるで森を染める雪のようだと思った。
きれいだけれど冷たくて。
触らないで、と拒絶されているみたいで。
でも、拒まれても仕方がない、手が悴んでもいつまでも触っていたいと思うのが雪なのだ。
そして、ナルミは雪もしろがねも好きだった。



「じゃあな」
ナルミはしろがねの作った間合いなど物ともせずに長い腕を伸ばすと抱き寄せて、その頭をクリクリと撫でた。
「なっ…!」
ナルミはしろがねに文句を言われる前に玄関を飛び出した。





「悪ぃ、待たせたな」
遅れて駆けて来たナルミにマサルが何かを言ってもらいたそうな笑顔を向ける。
ナルミはマサルの気持ちに思いっきり応える。
「ありがとなァ、マサルゥ」
ここしばらくナリを潜めていた太陽の笑顔で、マサルを抱き締めて、髪をグシャグシャにするほどに撫でてあげる。
「オレのためにオオカミを探してくれたんだろ?やっぱ、おまえは最高の友達だよ」
ナルミはマサルを肩に担ぐ。
「えへへっ。僕は兄ちゃんが元気になってくれればそれでいいんだ!」
マサルは泣きたいくらいに嬉しくて堪らない。
そんなマサルをリーゼもまた嬉しそうに見つめた。
「リーゼもありがとな、迷惑をかけた」
「いいえ、そんなことありまセン。マサルさんが…嬉しそうだから、私はソレデ…」
かああっと頬を染めるリーゼの頭もナルミは大きな手の平で撫でた。



後は。
オレ次第、なんだよな。



ナルミはしろがねの頑なな態度を思い出し、前途多難だなぁ、とは思ったけれど後には引けない。
再会して分かったのだ。
オレはしろがねのことが好きなんだ、と。
再会できたら謝って、そうしたらすぐに許してもらえて、そうしたらすぐに言えるものだとばかり思ってた。
「好きだ。オレと付き合ってくれ」
そんなのは簡単だと思ってた。
けれど現実はそんな簡単なものではなかった。
それに実物を目の前にしてみると、仮にしろがねが許してくれたのだとしても、その言葉が滑らかに口から出てきたか、ってのにも自信がない。しろがねの気持ちが気になって、いきなりフラれたらどうしようとか思って、だったら少し様子を見ようとか考えたに違いない。



はあ。



しろがねの家にやってくるまでナルミの胸を締め付けていた想いとは別の想いが、やっぱりナルミの胸を苦しくさせるからナルミは思わず大きな溜め息をマサルの前でついてしまった。
「どうしたの、兄ちゃん。溜め息なんかついて」
心配そうなマサルの声。
紹介したのはもしかして迷惑だったの?そう思ったのかもしれない。
ナルミの頭にしがみ付くマサルの指にくっと力が入ったから。
ナルミはしろがねの言ったことを思い出した。
『マサルの悲しそうな顔、困った顔は見たくない』
それはナルミも同じ。
ナルミは『心配すんな』、と抱えたマサルの膝をぽんぽんと叩く。



「あんなベッピンさんに会えたからさ、感無量なんだよ。会えて…オレは本当に嬉しいんだ」
「ホントに?兄ちゃん、しろがねのこと好き?」
ずい分ストレートな質問だなぁ。
ナルミは苦笑いする。
「ああ、好きだよ。初めて会ったときからずっと、な」
ナルミはマサルを見上げてウィンクした。
「よかったああ!」
マサルの笑顔がピカピカになる。マサルはリーゼと顔を合わせてにこっと笑った。リーゼも「よかったデスネ」と手を小さく振った。マサルはナルミの肩からぴょん、と飛び降りる。



「さあ、兄ちゃん!リーゼさんのウチまで競走しよう!」
ちびっ子ふたりはたたっと駆け出す。
「おい、ちっと待てって!オレは…」
胃が重くてとてもじゃないが今はまだ走れん。のんびりと動かないと中身が出ちまう。
「早く、兄ちゃん!」
「あーもー、おまえらは先に行け!」
怒鳴ってナルミは口元を押さえた。大声を出しても飛び出しそうだ。しばらくは腹圧をかけないようにしてないと。
「ちょっとカッコつけすぎたなァ」
ナルミは頭をガリガリと掻いた。



三人三様の幸せな後ろ姿。
しろがねはそれを玄関の戸口で見えなくなるまで見送った。





「やっぱり触れてきた…」
玄関の扉を閉めながら、しろがねはナルミに抱き寄せられたことを思い出し、爪を噛んだ。
不覚にも心臓を慌ただしくさせている自分が許せない。
「もっと用心しなくては」
間合いはもっと取って、マサルさんたちががいなければ絶対にあの狼とは会わないようにしないと。
決意も新たに大きく頷いて
「さあ、片づけをしましょう」
しろがねはテーブルの上の皿に手を伸ばす。
どれもこれもきれいに空っぽの皿たち。
「あんなに残ってたのに…」
ナルミが全部食べてくれたのだ。美味い美味いと言いながら。



しろがねはナルミの笑顔を思い浮かべて、皿を重ねる動作が鈍ったことに気付き、ううん、と首を振った。
「あんなに大きな男だもの。食べて当然。大きくて少食なんてカッコ悪いにも程があるもの」
カチャカチャと皿を掻き集め、シンクへと運ぶ。
そしてまた、あの男はこの重たい皿を片手で軽々と持っていたな、なんてことを思い出す。
「何でこんなことばかり!」
しろがねはぶぶん、と首を振る。



きゅ、と蛇口を捻る。冬の水は氷のように冷たい。
しばらくは怒ったように黙々と皿を洗っていたしろがねだったけれど、いつの間にかやさしい顔になっていて
「今度はもう少し……量を少なくして……負担をかけないように……ナルミに……」
なんて呟いたけれど、無意識の言葉だったから彼女は自分がそんなことを口にしたことに気付かなかった。
キッチンには気分のよさそうなハミングが流れた。



End



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