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義務教育を終えてない方はご遠慮ください。
Unbalance.
33. Forget - me -not . -2-
橙色の蝋燭の火が、少女の白い裸体を蜂蜜色に浮かび上がらせる。
春先の夜、暖房設備も整っていない安宿はとても寒くて、ふたりは身体を温めるためかの如く激しく愛し合う。
鳴海の腹の上に跨ったエレオノールは、固くいきり立つペニスを股にしっかりと挟み身体を前後に揺らす。
ヴァギナから溢れ出る蜜が潤滑油となり、ヌルヌルと鳴海のペニスの上を滑り、擦る。
ゴリゴリとした肉茎と大きく開いた傘が、エレオノールの陰唇とクリトリスを刺激する。
濡れてツルツルとした陰毛のない柔肌が滑らかに裏筋を舐め、程よい太腿の圧力が鳴海を昇天へと導く。
騎上位だと、重力のおかげでエレオノールの小さな乳房も幾らか鳴海の手の中で弾力を増す。
鳴海が壊れやすそうな二つの膨らみを両手で大事そうに包み、その細い身体に似つかわしくない赤く尖った乳首を指先で弄び、口に含むと
それまでリズミカルだったエレオノールの動きが如実に乱れた。
艶かしい吐息を漏らし、鳴海の愛撫に酔いしれる。
鳴海は片手をエレオノールの尻に宛がい、リズムに乗れなくなったエレオノールの代わりにその身体を揺する。
感じやすい乳首とヴァギナに同時に刺激を受けて、エレオノールの頭の中が次第に真っ白になる。
鳴海の腹に置かれた指先にギッと力がこもる。ガクガクと身体が震えだす。
エレオノールの腰の力が抜けるのと時を置かずして鳴海は射精し、腹の上に精液をぶちまけた。
はあはあと乱れた呼吸を整えつつ、視線が合うとふたりはクスッと笑い合った。
「けっこう飛んだなぁ…」
首筋にまで飛散した自分の精液に鳴海は苦笑する。
「エレオノール、そこら辺にティッシュないか?取ってくれるとありがたい…」
「そんなの必要ないわ。私がきれいにしてあげるから」
エレオノールは妖艶に微笑むと、鳴海の腹を汚す精液を猫のように舐め取り始めた。
「いいって、そんなん舐めなくても。拭けばいいって」
「起き上がると零れちゃう。シーツが濡れると気持ち悪いわよ?大人しくしてて」
ぴちゃぴちゃと可愛らしい舌が鳴海の肌の上を這い回る。
濃くて粘度の高い精液は一度舌で擦っただけでは取りきれず、エレオノールは何度も何度も舐る作業を繰り返す。
時に唇を窄ませて糸を引かせながら精液を啜る。
半ば気持ちよく、半ばこそばゆい鳴海は大人しく為すがままなりつつも、「おい、やめろって」を連発した。
エレオノールは苦い精液を唾液に混ぜて美味しそうに飲み下していく。
そして最後に鳴海の首筋についた一滴をペロリと舐めて
「ごちそうさま」
といたずらっ子のように鳴海の頬にキスをした。
「そんなにしなくても…汚ぇだろが」
「汚くなんてないわ」
エレオノールは自分の手の平をぬる付かせる精液の名残もまたきれいに舐めた。
「ネコみてぇ」
「ふふ」
鳴海はエレオノールの手を引いて、彼女を自分の胸元に収めた。
それこそ猫のように鳴海の喉元に眉間をこすり付けるようにして甘えてくるエレオノールの背中にくるりと両腕を回し、鳴海は彼女の皇かな銀の髪に顎を乗せる。そして自分の腕で作った籠の中に愛する女を閉じ込めた。
ずっとこうしていたいのに。
鳴海はエレオノールに見られないところで唇を噛んだ。
暗く静寂に沈み込んだ室内にどこかに設えられた時計の針が秒を刻む音が響く。
鳴海に愛されることを心行くまで堪能したエレオノールにとっては睡魔を呼び込む子守唄。
鳴海にとっては望まない暁の昇る朝の到来を残酷に、親切に教えてくれる不運の女神の鼓動。
はあ。
思わず、堪えきれず、鳴海が溜め息を漏らした。
幸せな温もりにうとうと微睡んでいたエレオノールが溜め息を聞き届けて、密着した身体と身体の間に隙間を作ると
「どうしたの?」
と言いたげな視線を向けた。
「……なぁに。幸せで怖ぇな、って思っただけだ」
不覚にも溜め息を漏らしてしまった自分に情けなさを覚えながら、鳴海は言い訳をした。
「そう?」
エレオノールは淡く笑った。
「うん」
鳴海はエレオノールの額にくちづけて、不安が覗いているであろう己の顔を彼女の視線から逃した。
カチコチと、憂鬱な時計の針が鳴海の心を追い回す。
恐怖を湛えた暗闇が鳴海を押し潰そうとする。
暁が、怖い。
どうしようか。
このままエレオノールと逃げてしまおうか?
『しろがね』もディーンも正二もギイも、誰も手の届かないところに。ふたりで。
鳴海はエレオノールを閉じ込める腕の籠の半径を狭める。
「ナルミ…?」
このまま、ふたりきりで、世界の果てまで。
先に死を迎えるだろうエレオノールの身体を抱いて、ひっそりと、誰も知らないところで。
エレオノールの呼吸が止まって、心音が聞こえなくなって、温もりが欠片も感じられなくなったらオレも石になろう。
エレオノールが骨になり、オレの石の破片と混じり、共に塵芥となる。
それでいいのではないか?
「ナルミ、どうしたの?」
愛しいエレオノール。
おまえの幸せって何だろうな。
オレの幸せはおまえと共にあることだ。
だけれど、オレがおまえの傍にいたら、おまえには平穏な未来は訪れない。
駄目なんだ、傍にいては。
オレはおまえが何と言おうとおまえを自動人形の囮にするような人生は歩ませたくない。
「ナルミ…?」
それにふたりで逃げてどうするんだ?
エレオノールを脅かすディーンを他人に任せたまま逃げるのか?
エレオノールの未来を明るく輝いたものにするためにはオレのこの手でディーンを排除しなければならない。
確実に、オレの手で。
オレのすべてはエレオノールの未来のために。
オレの想いもエレオノールの未来への礎になればそれでいい。
「ナルミ…?っあ…ん…」
鳴海の指先がエレオノールの背筋をなぞる。指が丸い背骨を数え、ゆっくりと尻の膨らみを包み、割れ目のうるみを掬う。
蜜の乾かないヴァギナは鳴海の指を抵抗もなく根元まで咥え込んだ。鳴海はエレオノールの中に忍ばせる指を二本、三本と増やしていく。
毎晩のように愛され続け、少しずつ広げられたエレオノールのヴァギナはいまや鳴海の太い指が四本入っても痛みを感じることはない。
「あ…ぅ…んっ…」
再び掻き立てられる愛欲の火にエレオノールは幼い身体を捩る。
鳴海はエレオノールの身体を組み伏せると甘い声を漏らす彼女の唇を吸った。
大きく開かせた脚の間で喘ぐ空ろは鳴海の長い指四本で満たされ、激しい水音を立てた。
エレオノールの身体はもう鳴海を受け入れることができるだろう。長いことをかけて、鳴海はエレオノールの硬い蕾を解してきた。
けれど最後の一線は越えることができないでいた。
それが後々、エレオノールが自分以外の男に抱かれるときの障害にならないかとの危惧のためだった。
堪えることが最早できず、エレオノールと肌を重ねてはしまったが、実らなかった初恋を一刻も早く忘れるためには余計な想い出はより少ない方がいい。
そう考えていた。それが正しいことなのも分かっている。
でも。
もう。
これが最後。
鳴海は指を引き抜くと膝を立て体位を整えた。
「少し痛むだろう……力を抜け…」
「ナルミ…」
「おまえの中に入る。いいか?」
エレオノールは鳴海の言葉にハッとした瞳を上げたが、静かに頷いた。
「大丈夫。乱暴にしない」
「うん」
鳴海は亀頭を割れ目に宛がうと、ゆっくりゆっくり、己をエレオノールの身体に沈めた。
エレオノールの身体が鳴海の下で硬く強張り、息を呑んだ。
幼い身体は弾力はあるが狭くて浅い。
鳴海の眼下には喘ぐエレオノール。
未成熟な身体にいきり立つ男の凶器が突き刺さっている絵はやはり、どうしても、自分が犯罪者になっているような気分になる。
しかし、幼くても、彼女はオレの女なのだ。
妻なのだ、オレの。
この先、成長したエレオノールが他の男と結婚するにしても、その魂と身体に加藤鳴海という男を記憶していて欲しい。
エレオノールの幸せを、と散々言い続けながら結局、己の感傷を優先してしまった自分が愚かで口惜しい。
そうと分かっていても、『しろがね』という人外の者であっても、所詮、元は弱い人間だった。
恋に煩う一介のただの男、それがオレだ。
鳴海はエレオノールと繋がり続ける。
次第に柔らかくなっていったエレオノールの身体はいつしか鳴海をすべて呑み込んだ。
鳴海とひとつになれたエレオノールは甘く悦びの声を上げる。
安宿の薄い壁など気にもせずに。
東の空が白むまで。
早朝、鳴海がチェックアウトしている間、エレオノールは狭いロビーの薄汚れたソファに腰掛けて他所の子が忘れていったクマのヌイグルミを抱えていた。
あれから一睡もしていない彼女はぼうっと眠たそうな瞳を空に彷徨わせていた。
まだ股間に鳴海を挟んでいるような気がする。うまく膝頭が合っていないように思われる。
幸福なけだるさが彼女を包んでいた。
鳴海の大きな身体越しに、宿の主は不躾で興味津々な濁った目でエレオノールを嘗め回していた。
「昨日はお盛んだったようで、ダンナ」
宿中に響き渡った少女の嬌声に興奮して眠れなかった宿の主も赤い目をしていた。
あんな美少女を夜通し抱いて楽しんだだろうこの大男に羨ましそうなギトギトした視線を向ける。
「小児性愛、なんていい趣味をしてらっしゃる」
ヒヒヒといやらしく笑う宿の主に鳴海はサインした用紙を乱暴に付き返した。
「勘違いするな。ナリは小さくてもアレは大人だ」
殺気だった鳴海の眼光が宿の主の口を噤ませる。顔面蒼白を余儀なくされた彼はそれ以上無駄口を叩く気はなくなったようだ。
「それに、アレはオレの妻だ」
きっぱりと言い放った鳴海は踵を返し、エレオノールが立ち上がるのに手を貸すと抱きかかえるようにして安宿を出て行った。
そして名実共に妻となったエレオノールと一緒に、白い朝日の中に融けていった。
その一歩一歩にエレオノールとの思い出を踏み締めて。