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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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分類に悩む読み物です。
義務教育を終えてない方はご遠慮ください。

 

 

 




 

 

 

 

 

Unbalance.

 

 

 

 

 

 

 

16. Crack.   - 1 -

 

「あ……っあ……あ……」

薄暗い安宿の一室で女を組み敷いた男の身体が揺れる。

その度に安っぽいベッドがギシギシと規則正しい軋みを立てる。

男は女の両脚を抱え上げ直すとその身体をふたつに折り曲げ、更に女の身体の奥深くにペニスを突き入れた。

女の口元から押し出されるようにして大きな声が漏れる。

「おい、静かにしろって初めに言っただろ……隣の連れが目を覚ましちまう…」

「そんなことを言ったって……無理よ、だって……あ…あ…っ…」

男の長い髪が揺らめくその下で、女は早々と絶頂を迎える。

「おい……客を置いてけぼりかよ。おまえさんプロだろ?」

「…っ……あ…ぅ…」

女は短い髪を振り乱したかと思うと、そのままガックリと脱力をした。

「ち…しょうがねぇなぁ…」

男のペニスを挟む女のヴァギナが弛緩してしまったので、気が萎えた上に快感も薄れてしまった。

仕方無しに男は機械的に身体を自分で動かすことを繰り返し、女の腹の上に白濁した体液を吐き出した。

どろりとした大量の精液が女の脇腹をゆっくりと流れ落ちていく。

「マジで何のために商売女を買ったんだか分かんねぇや」

強制的に、圧倒的な快楽のうちに、余計なことを考えること無しに欲望を吐き出したいのに。

おかげで男は、この世で一番愛する少女の面影を思い浮かべて果てることになってしまった。

それは、最も避けたかったことだった。

 

 

 

 

 

その晩初めて、鳴海はエレオノールと宿泊する際の部屋を別々に取ることにした。

「もう、おまえは大きいんだからひとりで眠れるな?」

「はい……多分……」

これまではずっと、同じ部屋に寝泊りをし、同じベッドで寝ていたのにどうしていきなり鳴海はこんなことを言い出したのか。

不安げな表情を隠さないエレオノールの頭を鳴海はやさしく撫ぜた。

「大丈夫。すぐ隣の部屋にはオレが居るんだから。何かあったらすぐに飛んでく」

「はい…」

「オレがこの部屋を出たらちゃんと鍵を閉めて寝ろよ?じゃあ、おやすみ」

「はい。おやすみなさい。ナルミお兄ちゃま…」

エレオノールは多少大人になったのか、以前のように泣いて「一緒がいい!」とダダをこねることはなかった。

昨日叱られたことが大きく響いていることには間違いはない。

何にせよ、それがせめてもの救い。

エレオノールの縋るような瞳に後ろ髪を引かれる思いをした鳴海だったが、それをグッと呑み込んで扉を閉めた。

エレオノールの身体が少女から女に変わりつつある。

それに気付いた鳴海はもう、エレオノールとは同じ部屋では眠れないと思った。

あまりにもエレオノールが危険すぎる。自分に信用がおけない。

カチャン、と錠の下りる音を聞き届けて鳴海は自分の部屋に戻った。

そして辺りもすっかり夜の帳が下りて、日付も変わった頃、鳴海は売春宿から女を呼んだ。

エレオノールも今頃は安らかな寝息を立てているに違いない。

そうっと暗い部屋に忍んで来た女はショートカットの胸の大きな女だった。

 

 

「初めまして。私の名前は…」

自己紹介を始めた女に、鳴海は一本指を唇に押し当てて黙るようにアピールした。

「あまり物音を立てないでくれ。隣に眠ってるヤツを起こしたくねぇんだ」

「分かったわ。じゃあ早速」

女は静かに服を脱ぎ捨てて白い裸体を鳴海の目の前に晒した。

それを見て、鳴海の身体は反応する。

「すごいわね…あなたの。商売抜きで楽しめそう…」

女は鳴海の足元にしゃがみ込むと、見事に勃起したペニスに舌を這わせ始めた。

大丈夫。

オレは大人の女の身体にちゃんと欲情する。

エレオノールと出会う前の昔と何ら変わらない。

それが確認できた鳴海はホッとして、女を組み伏せると獣のように襲いかかった。

 

 

いつも女を抱くのは、ギイが来てエレオノールを任せられる時だけだった。

こんな風に自室に女を呼ぶのはエレオノールとふたりで旅をしてからは初めてのことだった。

隣の部屋とはいえ、すぐ近くにエレオノールがいる。

エレオノールのすぐ目と鼻の先で自分は他の女を抱いている。

その現実は事の他、気持ちが良かった。

何という背徳行為だろうか。

エレオノールへの愛に対する背徳行為。

鳴海はエレオノールへの想いを汚したかった。

おまえが近くにいても、オレは他の女を抱ける。セックスに耽ることができる。

おまえへの裏切りは何と気持ちがいいのか。

自分のエレオノールへの愛情など崇高なものでも格別なものでもない、いつでもこうして代替のできるものなのだと、そう、思い込みたかった。

だから見ず知らずの女との肉欲に溺れる愚かな行為のうちに精液を吐き出すのが目的だったのに。

女が先に昇天してしまったので、結局鳴海は女の身体を借りて、エレオノールを肴に自慰をしたような結果に終わった。

 

 

 

 

 

「こんなんじゃ、オレの方が金をもらいてぇよ」

鳴海がふてくさるような声で唸る。

「ごめんなさい。だってあなたすごいんだもの…いいわ、サービスするから……だから楽しませて…」

商売抜きで鳴海に抱かれたいと思った。

女は鳴海の身体を跨ぎ、一度吐き出したくらいでは萎えることのない鳴海のペニスを自ら身体の奥深くに迎え入れた。

「あっ……ん……本当にすごいわ、あなたの…」

鳴海の割れた腹筋に両手をつき、グイグイと腰を動かし艶かしい水音を立てる。

「今度は先に行くなよな……プロなんだからよ」

「分かってるわ…」

頭で理解しても身体が言うことを聞いてくれるかは別問題だが。

鳴海が下から女の身体を突き上げた。

「あうっ!」

女の口からまたも大きな喘ぎが飛び出した。

「だーかーら、大きな声を出すなってば」

「隣に誰が居るの?女でしょ?……奥さん?……恋人?」

「『妹』だよ…」

「妹が寝ている間に女と遊んでるの…?悪い、お兄さんね…」

「うるせぇよ…」

鳴海は苦々しく舌打ちをした。

 

 

「口でやってくれ。このままだとまた置いてけぼりにされちまいそうだ」

「いいわ……イかせてあげる。『お兄さん』…」

女は鳴海のペニスを頬張った。

ねっとりと亀頭や肉茎を這い回る舌の感触が堪らない。

「う……さすがに、上手いな……」

鳴海に褒められ、ようやく優位に立てた女は喜んで、数え切れない程の男を相手して身につけた舌技を駆使して鳴海のペニスを可愛がった。

鳴海は身体を起こし、自分のペニスに恍惚として愛撫を与える女の姿に見入る。

瞳を閉じてしまうとエレオノールの姿が脳裏に浮かんでしまうから。

それを避けるために現実の女の痴態に見入る。

エレオノールではない、他の女にペニスを咥えさせているのだ。

鳴海の中の内圧が高まる。

 

 

今度は『健全に』精液を吐き出せそうだった。

 

 

 

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