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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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原作にそったパロディです。

 

 

 

 

 

それはとても遠い記憶。

 

 

 

 

 

 

再会。

 memories.

 

 

 

 

 

 

おそらくそれは古い古い記憶。

私のものではない、私の中の誰かの記憶。

 

 

 

記憶は語る。

 

 

 

今から遠い昔、私とあなたは出会った。

あなたは学問を修めようと精進する学のある人で

その学問のために過酷な旅をして私の住む異国へとやってきた。

私は学のない貧しい女で

貧しさ故に盗みを犯した犯罪人の刻印を身体に持っていた。

初めから、初めて会ったときから釣り合いがとれるなんて思ってもいなかった。

あなたが私を好きになってくれるなんて思いもよらなかった。

それなのに。

あなたはこんな私を愛してくれた。

あなたは神の御前で誓いのくちづけをくれた。

こんな私に。

私も神に誓った。

生涯、夫であるあなたを愛しぬくと。

でも、それは

叶うことのなかった誓い。

あなたは長い年月をかけて私を探し出してくれた。

でも、そのときにはもう、私はあなたと一緒に暮らせない身体になっていた。

あなたはそんな私をまだ、愛していると、自分の妻だと言ってくれた。

嬉しかった。

『いつかまた私と出会ってね』

それが私の最期の言葉。

 

 

 

それから長い永い時間が流れ流れた。

 

 

 

私は私の隣に眠るあなたを見つめる。

私の瞳を通して、私の中の誰かもあなたの中の誰かを見つめている。

 

 

 

久し振りね。

やっと会えたわね。

 

 

 

そうね。ようやく会えたわね。

私の中の誰かが最期に言ったとおり、

私はあなたと再会したとき、あなたが嫌いだったわ。

あなたはお節介で、ケンカ腰で、力自慢で。

私も生意気で、冷たくて、心を開かなかった。

でも、やっぱり、好きにならずにいられなかったの。

私も。

 

 

 

 

私はあなたの安らかな寝顔にキスをする。

私の中の誰かもあなたの中の誰かに、私たちの身体を通してキスをした。

 

 

 

 

不思議ね。

私とあなたが再会できるなんて。

時を超えて結ばれるなんて。

私は記憶だけの存在になってもあなたを心から愛している。

 

 

 

 

それはとても遠い記憶。

 

 

 

 

私とあなたが今と違う町で生きていて

今と違う名前で呼ばれていた頃の

とてもとても遠い記憶――――。

 

 

 

 

End

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