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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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原作にそったパロディです。


こどもたちが無邪気につくるシャボン玉が風に運ばれて青空へと舞い上がる。
鳴海としろがねの瞳もそれにつられて空を映す。


「どこの国でも、いつの時代もこどもって変わらないわね、無垢で」
「そうだな」


こどもが大好きな鳴海の目はとてもやさしい。
ふたりの視線の先で、シャボン玉は小さくなって、弾けて消えた。
もう、あなたとこうして旅を続けてどれくらいになるでしょう。
何十年経っても、新しく生まれてくるこどもたちには罪がないのに、人間の戦争はなくならない。
本当は、私たちのサーカスなんて誰も必要としない世界が訪れるといいのに。
あなたが四肢や心を投げ打ってまで守ろうとした世界を、人間は自らの手で壊そうとしている。
無垢なこどもたちも成長していつしか大人になると、戦いを始める。
それが人間の業なのか。


あなたは何も言わないけれど、もうずっとそんな人間の姿に傷ついている。
あなたは、やさしい人だから。


しろがねは鳴海の背中を抱き締めた。しろがねでは覆いつくせない大きな大きな背中。


「私、シャボン玉が飛んでどこかで割れる、そんな風にあなたと一緒に生きることができたらそれでいい」
「何だ、急に」


鳴海が笑っている振動が背中を通してしろがねに伝わる。
鳴海の手の平がしろがねの肩を包んだ。
私が抱き締めているはずなのに、何だかあなたに抱き締められているみたい。


「ナルミ、好きなように生きてね」


私はあなたの背中を必ず追いかけていくから。
こどもたちのつくる虹色のシャボン玉が次々と大空へと旅に出るのを、鳴海としろがねは寄り添ったまま見送った。



End
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