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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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鳴海の軽井沢生還ベースのパラレルです。






クリーム






「気をつけろ!そこ、踏むな!」


鳴海が注意した時にはすでに遅し。
しろがねの足は危険地帯に踏み下ろされていた。
何やらヌルヌルした冷たい感触がしろがねの足裏にべっとりとまとわりつき、そのヒャッとした感覚に彼女の歩行はピタリと止まる。
見るとキッチン入口の床は白いものでべったりと汚れていた。
しろがねが踏んだのはそれが一番山になっていたところ。
甲までシロイモノに塗れた足をゆっくりと持ち上げる。


「これは…大惨事だな…」
しろがねは見事な片足立ちバランスを披露しながら、事故の当事者に「一体何があった?」という視線を向けた。
「もうちっと早くに声かけしときゃよかったな。すまなかった」
鳴海はそう言いながら、しろがねの腋の下に両手を挿し入れてその身体をひょいと持ち上げると近くの椅子に座らせた。


「学校終わったら勝たちが遊びに来るってゆーからさ、シフォンケーキ焼いたんだ。シフォンケーキとくればやっぱ、付け合せに生クリームとミントだろ?そーいや庭にミントが自生してたなあ、じゃあ採ってくっか、って思った時に腕が当たったのよ。で、ボールごとひっくり返しちまった」
この人は本当に甘いモノにマメな人だ。
しろがねはいつも感心する。


「でも裸足でよかったな。靴下とかスリッパだったらかえって面倒だった」
「洗濯するのも手間だものな」
「あーあ。もったいないことしたなぁ…生クリームなしになっちまった。オレ好きなんだけどな」
しろがねは足の甲のクリームを指ですくって舐めてみた。甘い。
鳴海がしろがねの何気ない味見の行動に触発されたのが見て取れた。
顔に「お、いいな、それ」と書いてある。
しろがねはてっきり、自分と同じように指ですくって舐めるものだと思っていた。
それも落ちちゃったけど床に触れていない部分とか、ボールの内側に残っているヤツとか、そういったクリームが対象だと思っていた。


だけれど鳴海は、しろがねの足についたクリームをペロッと、舐めた。
鳴海の舌がクリームを掻き分けてしろがねの肌に触れる。
冷たいクリーム塗れの肌に、鳴海の生温かな舌の感触の対比が得も言われぬ腰が痺れるような感覚を生み、しろがねがびくんと反応する。


「あれ?感じた?」
「莫迦!そんなんじゃない、舐めたら汚いぞ?」
「おまえの足のどこが汚ぇってんだよ」
鳴海はしろがねの足をつかみ、ペロペロと舐めた。
舌でクリームを拭っていく。
足の甲も、足の裏も、踵も、指も、指の間も。
しろがねは座る椅子の座面を両手で握り、握る指に力をこめた。


「裸足で……家の中を……歩き回っていたと言うのに……」
くすぐったい、けれどそれ以上に気持ちがいい。
鳴海はしろがねの足をすっかり舐めてきれいにすると、今度は彼女のTシャツをたくし上げ、その下に隠れていた肌に唇を寄せた。
「そ、そこにはクリームはついてないぞ?!」
「じゃあ、つけてみようか?」


鳴海はボールの中に残るクリームを指ですくうとしろがねの胸の先にそれをなすりつける。
「イチゴと生クリーム、だな」
「莫迦…」
しろがねは鳴海の頭を自分の胸に引き寄せる。
鳴海はその甘くて柔らかなデザートをゆっくりと丹念に、時間をかけて平らげた。



End
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