『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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カウンタ20000のお祝い、その3
Thanks! illustrated by りるさん。
オマケSSあり〼。
『五つの贈り物』
「もうじきあなたの誕生日ね。プレゼント、何か欲しいものってある?」
しろがねにそう訊ねられて、鳴海は「ない」と返事をした。このやり取りはもはや毎年の恒例。
「そう言われるとは予想していたけれど……」
「いいよ。おまえの手料理、それもスペシャルメニューが食えるんだ。それだけで充分てもんだ」
鳴海のこのセリフも毎年恒例。
「でも、私の手料理なんて珍しくもないでしょう?それに私の誕生日にはあなた、何かしらくれるでしょう?ネックレスだったり、指輪だったり」
「いいの。国によっちゃノーアクセでいると『寝起きですか?』なんて言われるんだからよ。そういう国にいるときに、おまえに不憫な思いはさせられねー。男の甲斐性ってヤツだから気にすんな」
「私たち、そういう国にはあまり滞在しないでしょう?」
「 い い の 」
「困っちゃうなぁ…」
しろがねは自分の指を飾る指輪に目をやった。これは鳴海が何年か前の誕生日にくれたものだ。
しろがねだって自分の誕生日には、何もプレゼントはいらない、と鳴海に言う。
でも鳴海は必ず何かしら、しろがねが身につけられるものを用意しているのだ。
しろがねだって女のコ、アクセサリー類は正直嬉しい。
だからその嬉しさを鳴海にも感じてもらいたいのだけれど。
「Tシャツや靴、って消耗品だから残らないでしょ?単価も比べ物にならないし」
「いいんだって。オレだって安物しか買ってやれてねぇんだ。自己満足なんだよ」
鳴海もしろがねの指にはまるそれに視線を落とし、指輪を触るついでにしろがねの手を握る。
「でも」
「いいの。オレにとってはおまえの存在が贈り物みてぇなもんだ」
しろがねは鳴海の五感に幸福を与えてくれる。
視覚に麗しく、聴覚にやさしく、嗅覚に香しく、触覚に心地よく、味覚に、甘い。
ただ傍にいるだけで五つの贈り物。
しろがねの不在は鳴海の地獄。彼女を独り占めできることが日常とは何たる至福だろう?
「だからオレにとっちゃ毎日が誕生日なんだよ」
そう言って鳴海は笑うとしろがねを引き寄せて額にキスをした。
充分、オレは幸せだ。しろがねの他には何がなくとも不自由はしない。
「本当に欲のない人ね」
「そおかあ?こんな欲張りは他にいねぇと思うがな」
End
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