忍者ブログ
『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

原作にそったパロディです。


 

 

 

 

 

 

陽だまり

 

 

 

 

 

 

 

春うらら。

 

空は青々、風穏やかな昼下がり。

 

縁側で天日干ししたフカフカポカポカな座布団の上。

 

それに

 

梵天耳かき

 

 

恋女房の膝枕。

 

 

 

しろがねの細い指が掃除に邪魔なこめかみの毛を耳にかけたり

 

耳朶をやさしく引っ張ったり

 

耳にふっ、と息を吹きかけたり。

 

その手が操る耳かきが絶妙な具合に耳掃除。

 

しろがねの膝に頬っぺたをくっつけて

 

しろがねの腹に鼻先をくっつけて

 

覗き込むしろがねの胸が押し付けられて柔らかくて気持ちがいい。

 

「痛くない?大丈夫?」

 

気遣うしろがねの声もやさしくてきれいにされた耳に心地いい子守唄。

 

天国って、ものすごいちかくに…あったんだな…ぁ…

 

……。

 

 

 

「ナルミ、終わったわよ?ナルミ?」

 

鳴海は無反応。

 

くてり、と投げ出された手足はぴくりともしない。

 

どうやらあまりの極楽さに眠ってしまった模様。

 

「そうよね。耳掃除って気持ちがいいものね」

 

こんな陽気なら尚更ね。

 

しろがねはしろがねで膝にかかる愛する人の重みが心地いい。

 

鳴海の前髪を掻き上げると、そこにはあどけなくて幸せそうな横顔。

 

無邪気で無防備な寝姿を自分にさらしてくれることがとてもとても嬉しい。

 

「あらあら。ヨダレが垂れてる…」

 

しろがねはクスクスと笑いながら鳴海の耳の穴を梵天でクリクリして

 

スカートのヨダレの海を大きくする手伝いをした。

 

 

 

温かい紅茶に溶ける角砂糖のように

 

自分たちも陽だまりに融けてしまいそうな

 

幸福な錯覚。

 

 

 

 

End

カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索

PR
Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]