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『からくりサーカス』鳴しろSS置き場です。
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鳴海の軽井沢生還ベースのパラレルです。





Flower shower





毎朝五時台に、鳴海は家を出る。この茹だるような時節、ランニングに出るとしたら太陽の斜角の低い早朝がいい。夜という手もあるけれど、ある理由から早朝一択だ。
川沿いをひたすら海まで走って行ってもいいし、少し離れた大きな森のような公園のランニングロードを周回してもいい。今朝の鳴海は河口まで走って来た。
小一時間ほど全力で走った後、近所の緑道で速度を落としてクールダウン、帰宅して庭で朝の日課をこなしてひとっ風呂浴びるのがここんとこの鳴海のルーティンだ。
そしてもう一つ
「よ、おはよ」
「ああ、おはよう」
帰り道の緑道を流していると、同様にランニング途中のしろがねとすれ違うことも毎朝の、鳴海の決まりごと。毎度こっちは汗だくで暑苦しいってのに、向こうは汗ひと筋すら涼しげだ。
しろがねが視界に入ると鳴海の気持ちは高揚する。心が嬉しさでいっぱいになって、ああ今日もきっといい日だ、なんて思う。


今日のしろがねは緑道にところどころ置かれたベンチに小休止して、空を見上げていた。白い横顔は相変わらずに今朝も綺麗だ。何があるんだか、と彼女の視線を追いかけても別に変ったものなんてどこにもない。
花をつけた街路樹の梢から差し込む、木漏れ日が眩しいだけ。
「何してんだ」
怪訝に思って訊ねると
「花を見ていた」
との返事が来た。しろがねが場所をずらす、ベンチに空けられたスペースの意図を察し、鳴海も腰を下ろす。チラリと横目で見て、彼女を真似て目を上に向けてみた。でも、やっぱり何もない。木漏れ日が眩しいだけ。
彼女にとってはわざわざ黙って見上げる程の花なのか。これはサルスベリの花、この季節になればよく見かける、珍しくもない樹花だ。だからまた訊いてみた。
「で?この花が一体何なのよ?」
「何、ってこともないけれど…しずく、みたいだなと思って」
「しずく?」


確かに言われて見れば、枝に満開に咲いた房状の花の塊から、小花がポタポタと落ちている。風もないのに、花が自然と降って来る。石畳は落ちて積もった花色で染まっていて、見渡すとどの街路樹もその足元を花で埋めていた。
「蜂が蜜を吸いに来て、その時に花を落とす。それがまるでしずくみたいだな、と…」
なるほど、花房の中に潜り込むようにして、蜂の黒い身体が見え隠れしている。小さな客に歩き回られて、役目を終えた花はその身を地面に還す。
「フランスの街路樹といえばプラタナスが多くて…次によく見かけるのはマロニエ…稀に桐の花が満開になっているのを見ると春が来たのだと…」
「街路樹か…日本はイチョウや桜が多いのかな。ハナミズキもちょくちょく。桐ってのはオレにゃピンとこねぇな」
しろがねの銀の髪には降り落ちた小花がたくさん飾られていた。まるで、花嫁のヴェールに降りかかったフラワーシャワーのようだ、と考えて、鳴海は少し目を細めた。


「なぁ?」
「何だ」
「前ッから訊いてみてぇと思ってたコトなんだけどさ」
「ああ」
「おまえ、勝を守るって使命を達成したら、どうすんの?」
「どう、とは?」
「故郷…フランスに帰るのか?」
「何故?」
「フランスの街路樹なんて連想してるからよ。ホームシックを患ってんのかと思って」
「ホームシック…」


しろがねは濃桃色の花を見上げたまま首を横に振った。銀色の髪からも小花がホロリと落ちた。
「違う。ホームシックではない。フランスに私のホームなどない、待っているヒトもいない…確かにフランスを連想はしたが、懐かしがって見ていたわけではない…」
「そ、そっか」
「今の私にはここより他に行く宛も帰る場所もないから」
しろがねの言葉にホッとする。しろがねの過去は謎めいているし、美人だし、国に待ってる男の一人や二人がいてもおかしくないと常々考えていたわけだけど。
「そっか、いねーのか…」
独り言を混ぜ込んだ安堵の息を吐き出しながら花を見上げる。


「ま、確かにキレイだよな。見ようによっちゃ雪みたいでさ」
雪に例えるにはかなり赤味の強い桃色だが、風情はある。なのに、しろがねは
「私は血のしずくと血溜まりに見えていた」
なんて言う。
「……」
「フランスにいた頃、風景はモノクロに見えていた。その中で唯一感じた色が血の色…赤い色…」
膝の上で拳が小さくぎゅっと握られた。
「私は季節の移ろいにも頓着がなかった。桐の花に春を知ったのも、その色からだ…」
フランスに限らない。世界中のどこの国の記憶にも色が無い。自動人形と戦い、壊す記憶に色など必要が無い。モノクロームの記憶を彩る唯一は己の身体が撒き散らす血の色。





サルスベリの梢から落ちているのは花ではなくて、私の血。
捥げて堕ちるのは花ではなくて、私のカラダ。
世界から色が褪せていく。
微かに甘い香りがする。
ならば、それは腐った林檎の香りだ。
今も、世界が褪せている、私の目は色を見ない。
この楽しい日常は絶望が見せる儚い夢で、
現実の私は、人形破壊者としての不毛な道に独りで佇んでいる     





「こら!しろがね、こっち見る!」
不意に頰を大きな両手で挟まれ、強制的に鳴海へと顔を向かされた。間近から、強く光る黒い瞳がしろがねを射抜く。
「そーゆー不穏なコトは考えねぇの!」
「カトウ」
思いがけないスキンシップと距離感に、しろがねの心臓が高鳴って目も丸くなった。
「今は?今もおまえの目はモノクロで景色が見えんのかよ?」
確かに、しろがねを見つめる瞳は黒い。でも、その黒はオパールが遊色を漉いたようにキラキラと輝いている。視野を広げれば太陽の匂いのしそうな濃い肌色、その背後には濃い夏の緑色が覆う。見上げれば真っ青な空。
「…いや、今は…私の周りにはたくさんの色がある」
「なら、へーきだ。今だけ見てろよ。な?」
鳴海は明るく温かい笑顔をしろがねに見せた。カチカチに力むしろがねの拳を大きな手で包んでくれた。触れるそこからしろがねの中にあたたかなものが流れ込んで来る。鳴海の存在が、温もりが、過去の記憶に影響を受けてモノクロに褪せていたしろがねの世界に色を戻してくれた。


「おまえの昔ってのがトラウマもんだってこたぁオレも分かってる。だから、色も付かねぇ辛い時代は思い出すコトねぇさ。苦しいだけだもんな。実際、おまえの記憶ってどこから色が付いてんだよ?」
言われ、しろがねは記憶を遡る。
「私の記憶に色が付き出したのは…」
「うん。そっから先が大事だと思うんだ」
「ああ…そうか、あなたに出逢ってからだ」
「…うん?」
「あなたに出逢ってから」
「……」
「改めて考えたことがなかったから自分でも知らなかった。こういうのを『目からウロコが落ちる』と言うのだな。たぶん、あなたと出逢っていなかったら、今も、私の世界には色が付いていないと思う」
「ええと…それは、どういう、意味…」
になるんだ?と考えを巡らす鳴海を尻目にしろがねは花を見上げた。落ちるサルスベリの花が、彼の言うように紅色の雪のように映る。花の雪が、梢から石畳へ直線を引いてパラパラと降り落ちてゆく。
逆に鳴海は思考の糸がグジャグジャと閉じ腐り始めたらしく、物凄く難しそうな顔をしている。


「あら、ナルミちゃん、おはよう。どうしたの険しい顔して。ダメよ、ケンカしちゃ」
「おう、おばちゃん。ケンカしてないしてない、大丈夫」
「そうなの?なら怖い顔してちゃダメよ?そんな別嬪さん、鉦太鼓で探してもふたりといないんだから」
「分かってるって」
鳴海は眉間の皺を伸ばして笑顔で応える。
早朝の緑道は早起きの年寄りがちょくちょく通り過ぎる。近所だけあって大抵は亡き祖父の知り合いで鳴海とも顔馴染みだ。いつも気安く挨拶し合う間柄だけれども、地元でも有名な美女とベンチに並んで手を重ねている日には
「お、ナルミ、朝っぱらから熱いじゃねぇか」
と通りすがり皆にからかわれる。
「へへ、ちょっとな」
と空いてる方の手をヒラヒラさせて鳴海が冷やかしを受け流せば、しろがねは淡く微笑んで会釈した。
以前の鳴海なら「そんなんじゃねーよ!」とムキになって否定したし、しろがねは無表情で聞こえなかった態でいるだろう。
出逢ってからの年月と、自分達を取り巻く世間の目、それを受けての自分達の反応の変化。


「んーとさ」
しばらくの考察の後、
「とりあえず。記憶が色付いてる今は楽しい、ってコトでいいか?」
と鳴海は言った。
「そうだな。楽しいな」
今は、これまでの人生が他人のものに思えるほど、しろがねは日々が楽しい。
「で。それがオレと出逢ってから、ってなら、オレと出逢ってから今日まで楽しい、ってコトでいいか?」
「それでいい」
「で。オレと出逢わなければ今も色が無い、のだとしたら…」
「だとしたら?」
「オレがいないおまえの人生は楽しくねぇ、ってコトか?」


しろがねは梢を見上げ、鳴海の言葉を噛み砕いて考えてみた。自分の拳を温めてくれるこの手がなかったら、と。途端、全身に震えが来た。
さぁ、と視界から色が引く。間違いを叱ってくれる存在がいなければ、笑うことを教えてくれた存在がいなければ、「人形なんかじゃない」と一番欲しかった言葉をくれた存在がいなければ。
鳴海と出逢わない世界線のしろがねは、けして人間にはなれていない。当然、楽しい、なんて幸福な感情も知らないまま。
カタ、と揺れ出す拳を鳴海の手が更に温かく包んでくれたから、しろがねの景色に色が戻る。分かりやすい自分の反応に、ふ、と笑みが込み上げる。


「これも考えたこともなかった…でも、どうやらそうらしい。あなたがいないと、私は色も分からない。降り散る小花も垂れた血液に見えるくらいに」
何という不毛な人生だろう。
「おじいさまは、勝お坊っちゃまをお守りすれば人間になれると仰ったけれど、あなたがいなければ私は『守り方』すら分からなかった…」
何だか妙にしろがねに持ち上げられて、鳴海はちょっとむず痒い。
「じゃあ、万事オレのお陰ってコトだな」
と照れ隠しに戯けてみせても
「ああ。ともすると、今も私は人形だった頃に引かれてしまう。あなたには今しばらく側にいてもらわないと」
なんて完全肯定されて更にむず痒い。が、しろがねのワードチョイスに若干引っ掛かりを感じた。


今しばらく、ってことは側にいる期間に天井があるってコトだ。しろがねにとってどうしても自分が必要なのであれば、“ずっと”、という単語を使うだろう。
ずっと側にいて、じゃねーのかよ。
ま、それじゃプロポーズになっちまうからおいそれとは言えねーけどさ。
と分かっていてもちょっと面白くない。
「ふうん」
鳴海は唇を尖らせ頰を掻く。
「いいぜ。“今しばらくは”、おまえの側にいるさ」
しろがねの手に重ねていた手をどかし、両腕を背もたれに掛け、小花を落とすサルスベリの梢を見上げる。しろがねの細い手が、心地良い重みと温もりを失う。同時に、今度はしろがねが鳴海の言葉に引っ掛かりを覚えた。その飲み込めない言葉の小骨がチクチクとしろがねの心に不安を掻き立てる。
「朝っぱらからセミがうっせぇなぁ…」
ふたりの間に会話が途絶えてしまった。


「カトウ?」
「ん?」
「そ、その……『その後』は」
「その後って?」
「私が、人間になれた、後…あなたは、どこで何をしている?」
チラと横目で見るとしろがねの銀髪に華やかに散る紅色の小花。そういやさっきフラワーシャワーのようだと思いながら、しろがねのウェディングドレス姿を想像したっけな、なんて考える。
顎を擦って、ふむ、と思案して
「そーだなぁ…結婚でも考えてみよーかなぁ」
という言葉が口から転げ出た。
「ケ、ケッコン?」
しろがねが余りに血相を変えて詰め寄るので、鳴海はタジタジと後退した。目力一杯に攻め込まれるようなことを言ったつもりはない。
「な、なんだよ」
「…結婚のこと、普段から考えてるのか?」
「二十代も半ばに差し掛かってんだ、ちっとは考えたっておかしかねーだろ?おまえだって考えるコトねぇか?オレと同い年なんだしよ」
何を似合わないことを、と暗に言われた気がして(鳴海自身、若干の自覚がないわけでもなかったし)、幾分語気を強めて言い返した。
「惚れた女と一緒になれたらオレの苦労尽くしの半生も報われるってもんだしな」
「惚…れ…た女って、それはこれから出逢うヒトの中から探すのか?それとも、もう具体的な誰かがいるのか?そういう、す、好きなヒトがいて…?」
「…て、いたって、そんなの、言えるかよ」
「わ、私は…」


鳴海が腹を立てたと思ったのか、しろがねは俯いて黙り込んでしまった。この湿気塗れのクソ暑い最中、妙にしろがねが寒そうに見えて、ちょっと態度がぶっきら棒だったかと反省する。またしても硬く握られた小さな拳におずおずと手を重ねてみた。拳は小刻みに震えていて、横顔は痛苦の皺が目元に刻まれている。
「おい、しろがね…今朝はどうした?調子が悪いのか?少し考え過ぎなんじゃ」
「そうだと思う。私は考え過ぎた…」
銀の頭が小さく頷いた。コロコロと小花が落ちる。
「…あなたのいない世界…あなたが、他の誰かと結婚した未来を考えて…ここが」
しろがねは胸とも胃ともつかない辺りをギュッと押さえて
「物凄く、痛くなって、息が出来ない…何でだろう…」
しろがねが切羽詰まった瞳を向けてくる。その、切なくも熱い瞳の色に、分厚い胸筋の奥がドキリと鳴った。


コイツ。
もしかして、ヤキモチ焼いてたり、する…?


そう思った途端、突然湧いた両想いの可能性にやたらと心臓が騒ぎ出した。
「ば、バカだなぁ。例え話じゃねぇか」
熱くなる顔を誤魔化し誤魔化し、しろがねの肩をポンポン叩く。
「そんな、難しく考える話じゃ」
「だけれど……考えたら、色が、褪せて、また分からなくなった……昔は、色が無いのが当たり前だったのに……今は、怖い。それでも、セピア色の世界でも昔よりはマシだろうか…」
「しろがね」
「私にはここより行く宛も帰る場所もない…私の言う『ここ』とは…要はあなたの…」
しろがねは鳴海と目を合わせていられなくなったようで、浅く息を吐くと
「すまない、変なことばかり言って。あなたが言うように、今日の私は調子が悪いらしい。サーカスに戻って少し休むとしよう」
と立ち上がろうとした。けれど、鳴海が手を放さないので動けない。
「カトウ、手を」
「オレはさ…」
鳴海は梢に目を据えたまま、独り言のように語り出す。


「前は、朝でも夜でも、適当にランニングしてたんだよな。でもよ、おまえが朝に走るって聞いたから、時間を朝に固定したんだよ」
ランニングが早朝一択である、その理由。
「カト…それは」
「オレは出来るだけおまえに会いたいんだよ。ランニングでほんのちょびっとすれ違うのだって貴重なの」
「……」
「だから、おまえの側にいるのが“今しばらく”でおしまい、は勘弁なんだ。そんなわけで、おまえが人間になるまで、が終わったら結婚を考えてみようと思ったのよ。おまえと、さ。そしたら気兼ねなく、おまえの側にずっといられるなーって」
「結婚…は私と…」
「他に誰がいる?オレの身の回り、おまえ以上の女がいるかよ?おばちゃんも言ってたろ?鉦や太鼓で探しても見つからねーってよ」


ま、あくまでオレの妄想だから聞き流してくれや、と顔を背ける。髪から覗く耳が真っ赤だ。
鳴海が自分を好きでいてくれた。結婚相手として考えてくれていた。鳴海のいない世界をもう恐れなくていい。
しろがねの胸を痛めていた何かは、甘苦しく膨張率の大きな何かに置き換わる。居ても立っても居られない衝動がしろがねを突き上げる。
「わ、私はっ」
しろがねは空いている手で、顔を空へと背ける鳴海の襟ぐりを掴むと、ぐいっと力任せに自分へと捻じ曲げた。
「おおいっ、何す」
「あなたにずっと側にいて欲しい。頼む。私の隣にずっといてくれ」
咄嗟にはしろがねの言ってることが飲み込めず、鳴海はキョトンとした丸い目を向ける。


でっかい目ぇ見開いちゃって。
なぁんでコイツ、こんな真剣なカオしてんだろなぁ。


じわっと来る喜びが笑いになって鳴海の相好を崩す。
「何だソレ…プロポーズみてぇだぞ?」
鳴海は可笑しくて、腹の底からくすぐったい。
「本気にするぞ?一緒にいるの飽きたっつっても離れてやんねーぞ?」
「冗談じゃない。そんなこと、言わない……むしろあなたの方が…私は…ニンギョウで…」
急激にしろがねの目力が弱まる。
「あのな」
重ねていた細い手を掬い上げ、手の平と平を繋ぎ合わせた。
「初めて会った時から言ってるだろ?おまえは人形なんかじゃねーってば。そんな表情豊かな人形なんているかよ」
す、と鳴海の指がしろがねの髪に伸びる。
「サルスベリの花がいっぱいくっついてる」
そう言う鳴海の黒髪にも紅色の花が散って華やかだ。コントラストが鮮やかで、鳴海の笑顔が暖かで。
「あなたの髪にも…」
言葉の途中で鼻の奥がツンと痛くなった。しろがねは何も言えなくなって、目元を鳴海の胸板に押し付ける。
「おい、どうした?」
「おかしいな…何だか、眩しくて目を開けていられない…」


知らなかった、こんなにも世界が色鮮やかだったなんて。
あなたの存在が、こんなにも私の世界の色を濃くしてくれる。
私はあなたのことが、こんなにも、好きだったのだな…


「バカだなぁ…汗掻いて汚れてんのによ」
そう言いながら肩をやさしく抱いてくれた鳴海に
「ああ、あなたの匂いがする…」
しろがねは身体を更に擦り寄せた。





ホロホロと、寄り添うふたりに祝福の小花が降りかかる。





「よう、朝っぱらから何イチャついてんだ、ナルミ」
通りすがりのじいさんに冷やかされる。早朝とはいえ往来で可愛い彼女を抱き締めているわけで、からかわれても仕方がない。結婚を前提にお付き合いがスタートしてまだ秒だ。
「へへ。ちょっとな」
鳴海は親指を立てると、これ以上ないくらい嬉しそうにニッと笑った。



End
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